2014年7月9日水曜日

集団的自衛権の行使容認で自衛官が減れば「徴兵制」は有り得る

集団的自衛権容認で「赤紙なき徴兵制」が強化されるのか?

2014年07月04日 16時11分 JST



2014年7月1日、安倍政権は従来の政府による憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。

これは戦後の日本の安全保障政策の大転換であり、これまで「専守防衛」に徹してきた自衛隊が、日本が直接攻撃されていなくても出動することが可能になったことを意味します(ただ、実際には今後の法整備が必要になります)。

1つの政権の意向で憲法の解釈を変えることは立憲主義に反する行為であり、民主主義の原則を踏みにじる暴挙です。連日、総理官邸前で展開された抗議活動に、私も一人の市民として参加してきました。

SNSなどでは、自衛隊が海外の戦地に派兵されることになれば、志願者の減少や退職者の増加が起こり、その結果、将来的に徴兵制が導入されるのではないか、という意見が出ています。

実際、2003年のイラク戦争の後に自衛隊が派遣された際には志願者が減ったというデータもあります。

しかし、生活困窮者支援に関わる者として言いたいのは、貧困層の若者を「安定した仕事だから」と勧誘して、自衛隊に「自発的に」志願させる「経済的徴兵制」は以前から存在している、ということです。

支援関係者の間では知られている話ですが、路上生活者には貧困家庭の出身で、自衛隊で働いた経験のある人が少なくありません。

「農家の次男坊・三男坊が安定した仕事に就くには、自衛隊の仕事しかなかった」と言っていた方もいます。

災害出動の際のトラウマで精神疾患になったことや、訓練の爆音で難聴になったことが原因となって仕事に就けず、ホームレスになった方もいました。

自衛隊が海外で戦闘に参加するようになれば、アメリカのようにPTSDを発症し、ホームレス化するベテランが増えるのは必至です。

安倍政権は財政難を口実に生活保護などの社会保障制度を改悪し、「成長戦略」の名のもとに雇用のさらなる流動化を図ろうとしていますが、こうした一連の政策は若年層のさらなる貧困化を招きます。

自らの政策によって貧困を拡大させ、貧困層を自衛隊に送り込もうとしているのではないか。

「赤紙なき徴兵制」(経済的徴兵制)をさらに強化しようとしているのではないか。

そのような疑念を抱かざるをえない政策が行なわれようとしています。

2007年のアメリカ映画『大いなる陰謀』(ロバート・レッドフォード監督)では、低所得層の学生たちが除隊後の就職先や大学奨学金を求めて軍に志願する姿が描かれていましたが、これは近い将来の日本の姿なのかもしれません。

7月1日は、自衛隊発足から60年にあたる日でした。

この日から自衛隊はAKB48メンバーを起用する隊員募集コマーシャルを流し始めました。

自衛隊発足から60年。募集CMに島崎遥香さんを起用。

私自身はこれまで社会保障の削減に反対する運動を主におこなってきましたが、安全保障の問題で動いている人たちとも連携を深めていきたいと考えています。

憲法9条と25条の問題はつながっています。

(2014年7月2日「稲葉剛公式サイト」より転載)

参照元 : The Huffington Post Japan



AKB48×安倍政権の「赤紙なき徴兵制」-目の前の食べ物を追いかけているうちに気がついたら戦場にいた

2014年7月3日 17時27分



「AKB48の出演する自衛隊のCMが登場、集団的自衛権行使容認の閣議決定と同日に公開」されたり、「高3生に自衛隊の募集案内が、個人宛に続々と届く」、「集団的自衛権が閣議決定された日に、中高生に自衛隊募集のはがき・封筒が届いた」ことが話題になっています。

『POSSE』編集長の坂倉昇平さんは、「AKB48こそが、ブラック企業」と指摘していますが、自衛隊も「ブラック企業」のような実態にあることは、私たち国公一般に寄せられる自衛隊員からの労働相談でもうかがい知ることができます。

今回の自衛隊のCMの中で、「自衛官という仕事、そこには大地や海や空のように果てしない夢が広がっています」「さあ、あなたの可能性へ」をキャッチフレーズに、「国際貢献活動」「災害救助活動」など「ここでしかできない仕事があります。」と呼びかけていますが、自衛隊においてもAKB48と同じように、「やりがいの搾取」が組み込まれていると言えるのでしょう。

しかし、実際の自衛隊は「夢が広がる」ようなところではなく、集団的自衛権の行使が現実のものとなる前から、イラク帰還の陸上自衛隊員の自殺率は日本平均の18倍であることなど、深刻な実態があります。また、『自衛隊という密室――いじめと暴力、腐敗の現場から』(高文研)の著者であるジャーナリストの三宅勝久さんは次のように指摘しています。

自衛隊というのは「暴力の闇」の中にあると感じています。男性の自衛隊員から殴打も含む虐待を受け、声を出すこともできなくなり自殺に追い込まれた女性自衛隊員。異動のはなむけとして15人を相手に格闘訓練と称したリンチを受け亡くなった自衛隊員。

先輩の暴行を受け左目を失明した自衛隊員。自衛隊員の自殺の原因に、日常的な上官らのいじめがあったとして遺族が提訴しているケース。守るべき一般市民を自衛隊員が襲った連続強姦事件。上司からセクハラされた上に退職強要を受けた女性自衛官の裁判闘争。

自衛隊員へのアンケート結果によると、女性隊員のうち18.7%が性的関係の強要を受け、強姦・暴行および未遂は7.4%にものぼり、自衛隊全体で700人以上が強姦・暴行および未遂の被害を受けているのです。その上、“臭いものにフタ”をして隠蔽する組織の取材を続けているうちに私は「死は鴻毛よりも軽し」という言葉が浮かびました。
【三宅勝久さん談、文責=井上伸】

それから昨日、「このまますすむと困っちゃう人びとの会」による「水曜夕暮れ官邸前アクション」の中で、稲葉剛さんが次のように指摘していました。

安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定を行いました。これは日本が直接攻撃されていなくても自衛隊が武力行使することが可能になることを意味するとともに、立憲主義に反する行為であり、民主主義の原則を踏みにじる暴挙です。

集団的自衛権の行使で、自衛隊が戦地に派兵されることになれば、志願者の減少や退職者の増加が起こり、その結果、将来的に徴兵制が導入されるのではないか、という意見も出てきています。

しかし、生活困窮者支援に関わる者として言いたいのは、貧困層の若者を「安定した仕事だから」と勧誘して、自衛隊に「自発的に」志願させる「経済的徴兵制」は以前から存在している、ということです。

路上生活者には自衛隊で働いた経験のある人が少なくありません。「農家の次男坊・三男坊が安定した仕事に就くには、自衛隊の仕事しかなかった」と言っていた方もいます。災害出動の際のトラウマで精神疾患になったことや、訓練の爆音で難聴になったことが原因となって仕事に就けず、ホームレスになった方もいました。

集団的自衛権を行使するようになれば、米兵と同じようにPTSDを発症し、ホームレス化する自衛隊員の方が増えることは必至です。

安倍政権は、生活保護などの社会保障制度を改悪し、労働法制のさらなる改悪をしようとしていますが、こうした政策は若年層のさらなる貧困化を招きます。

安倍政権は、貧困を拡大させ、貧困層を自衛隊に送り込もうとしているのではないでしょうか。戦争は最大の「貧困ビジネス」というような形によって、「赤紙なき徴兵制」「経済的徴兵制」をさらに強化しようとしているのではないでしょうか。憲法9条と25条の問題はつながっているのです。
【稲葉剛さん談、文責=井上伸】

この稲葉剛さんの指摘がすでにアメリカではリアルに行われていることを、堤未果さんは、『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)などの中で次のように告発しています。

徴兵制など必要ない
政府は格差を拡大する政策を次々と打ち出すだけでいい
ブッシュ政権は2002年春、全国一斉学力テストを義務化。全米のすべての高校に、生徒の個人情報(親の職業と年収、市民権の有無、生徒の携帯番号等)を軍のリクルーターに提出することを義務づけ、もし拒否したら助成金をカットされ、その高校は成り立たない。

高校生が入隊する2大理由は、大学の「学費免除」と、兵士用の「医療保険」だ(2007年1月時点で、アメリカ国内で医療保険に加入していない国民は4,700万人いるが、特に貧困地域の高校生たちはほとんどが家族そろって無保険のため、入隊すれば本人も家族も兵士用の病院で治療が受けられるという条件は非常に魅力的。イラク戦争が開始された2003年に米軍がリクルートした新兵21万2,000人、そのうち3分の1は高校を卒業したばかりの若者たちだ)

2004年1月のひと月だけで、米国内の37万5,000人が失業手当を打ち切られ、過去30年間で最多人数を記録。一方で、同時期、週に平均200人から300人の社員をイラクやアフガニスタンに派遣する派遣会社(KBR社※この会社の親会社ハリバートン社はチェイニー現副大統領が1995年から2000年までCEOを務めた石油サービス・建設企業)の社員数は6万人を超えた。

2005年までに4万8,000人がイラクに派遣されている。派遣社員の労働条件には、「もし現地での勤務中に事故で亡くなった場合や、化学兵器や放射性物質などによって死亡した場合には、本国への遺体送還はあきらめていただく。現地で会社が責任を持って火葬する」とある。

2004年8月、アメリカの派遣会社の社員12人がイラクの武装勢力に処刑される事件が起きた。しかし「派遣社員は民間人の扱いだから戦死者に入らない、つまり政府には発表する義務がない」

もはや徴兵制など必要ない。政府は格差を拡大する政策を次々と打ち出すだけでいい。経済的に追いつめられた国民は、黙っていてもイデオロギーのためではなく生活苦から戦争に行ってくれる。ある者は兵士として、またある者は戦争請負会社の派遣社員として、巨大な利益を生み出す戦争ビジネスを支えてくれる。大企業は潤い、政府の中枢にいる人間たちをその資金力でバックアップする。これは国境を越えた巨大なゲームだ。
【堤未果著『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)より】

目の前の食べ物を追いかけているうちに気がついたら戦場にいた
アメリカはなぜベトナムから学ばなかったのだろうという人もいますが、ベトナム戦争とイラク戦争をつなげて考える人はあまりいません。貧困層の人たちが生活の手段のためにイラク戦争に行っていると思っています。

だから戦争に行くのは自己責任だということになってしまい、ベトナム戦争のときと意識が全然違うんです。そうすると周りに対して、ベトナム戦争みたいに戦争は間違いだという声は上げにくい。戦争に行く過程を振り返ってみると、目的意識がはっきりしたものではなくて、ホームレスになるとかいくつかの選択肢がある中で、たまたま生存権と引き替えに戦争に行ったということになってしまうわけです。

生活のために余裕がなくて、お腹がすいていて目の前の食べ物を追いかけているうちに気がついたら戦場にいたということなのです。
【堤未果著「貧困・戦争、そして希望の語り方」(『現代と教育76号 特集 貧困・格差問題と教育』、桐書房所収)より】

そして、「死の商人」というと、武器をつくる軍需企業をすぐ思い浮かべますが、堤未果さんも指摘しているように、戦地に民間兵士を供給する派遣会社も「死の商人」です。

私、ケン・ローチ監督の映画『ルート・アイリッシュ』を観たとき(2012年3月)、ジャーナリストの安田純平さんのお話を聴きましたので、最後にそのとき印象深かった部分だけですが要旨を紹介します。(「防衛省とも密接…「集団的自衛権」でもソロバンを弾くパソナ」というような状況と集団的自衛権がリンクするならば、日本においても『ルート・アイリッシュ』のようなことがリアルに展開される事態になると思います)

「自己責任だから戦場に行く」「仕事がないなら戦場へ行け」
ケン・ローチ監督が『ルート・アイリッシュ』で描いたように、イラク戦争の特徴は「戦争の民営化」でした。戦争に関わるあらゆる業務が民間軍事会社に委託され、米議会予算局の報告書によると、イラク戦争に投入された米兵20万人に対し、民間軍事会社に関連する民間労働者は19万人。米兵と民間労働者の比率は、第2次世界大戦で「7対1」、ベトナム戦争で「5対1」でしたので、米兵とほぼ同数の民間労働者が戦場に投入されたイラク戦争はアメリカ史上初めての民営化による戦争だったのです。

そして、アメリカの労働省によると、アフガンとイラクでの米兵死者数は2011年末で6,397人。これに対して民間労働者の死者数は2,958人にのぼっています。ところが、この民間労働者の死者数は、戦死者としてカウントしないことで表向きの被害を小さく見せることが可能となります。

また、戦場で米兵が死傷すると多額な保険などが必要になりますが、そうした必要もない民間労働者は、アメリカ政府にとって、使えなくなれば取り替えるだけでいい「安い命」「安い部品」でしかないのです。

アメリカ政府はイラク戦争に対する批判を避けるためにコスト削減と被害の削減が必要で、最低ランクの米兵よりもさらに半値に近い報酬で民間労働者を集め、たとえ戦場で命を落としても戦死者とせず被害の削減ができるという一石二鳥の「戦争の民営化」が進んだのです。

貧困と格差が広がり、自らの生活は自らで守るしかないという「自己責任国家」では、目の前の一時的な危険をおかすことをいとわない人々がいてもおかしくはないのです。「戦場に行くなら自己責任」ではなく、「自己責任だから戦場に行く」ということなのです。日本政府がアメリカのような「自己責任国家」をめざしていくと、日本においても「仕事がないなら戦場へ行け」となる危険性があると思います。

【ジャーナリスト安田純平さん談、文責=井上伸】

参照元 : Yahooニュース


タイミングを計ったように自衛隊員募集のパンフレットを自宅に送りつける政府。安倍政権は戦争する気満々である。





集団的自衛権の行使容認の解釈改憲を閣議決定したタイミングで、全国の高校3年生に自衛隊募集の案内を送りつける安倍内閣・・・実に不気味だ。


アメポチ政策である集団的自衛権に賛成してる自称保守派は、「徴兵制など有り得ない。デマだ!」と言ってますが、他国の戦争に巻き込まれるのが分っていて、これから自衛官になりたいと思う若者など居ません。

それどころか、今後は現役自衛官も依願退職する者が増えるでしょう。戦場で自衛隊員が犠牲になり、隊員が減れば徴兵制は充分有り得る話です。



自民党・村上誠一郎議員「集団的自衛権、最終的には徴兵制も視野に」
民主党・枝野幸男議員「集団的自衛権、必然的に徴兵制に」
共産党・志位和夫議員「集団的自衛権行使容認で自衛官が激減すれば徴兵制になりかねない」



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